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高齢者の方は必見!今注目の免許『自主返納』の仕組みを解説します。

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「運転免許証を返納する」という選択が高齢者本人だけでなく、その家族らにも近年注目されています。
高齢ドライバーによる交通死亡事故が頻繁にニュースとして取り上げられている折、痛ましい死亡事故の発生などが大きく影響し、免許返納への機運が加速、実際に免許返納者数も増加しています。

この記事では、高齢者の「免許返納ガイド」として、ニュースや統計結果を踏まえた現状を紹介しつつ、免許更新時の認知機能検査や高齢者講習を含めた免許返納までの流れ、自主返納を促す国や自治体、民間組織等の取り組みや支援などを交えてまとめてみました。
免許返納という重大決心に備え、一助となるような内容です。事前情報としてご覧ください。

高齢者の免許返納はいかに決断すべきか
高齢者の免許返納はいかに決断すべきか出典:国土交通省

1. 高齢ドライバーの事故減少も目的の免許自主返納制度

免許の自主返納制度は1998年の道路交通法改正に伴い導入された制度で、「免許証の取り消し申請制度」が正式名称です。
その後、いくつかの改正を経て、現在は運転経歴証明書が本人確認証として広く利用されており、紛失時の再交付も受けられるようになっています。免許の自主返納制度は、高齢ドライバーの事故増加を減らすことも目的の一つでした。

加齢による身体機能低下は運転時の操作ミスにつながりやすい

なぜ、高齢ドライバーへの免許返納を促すのか、理由はいくつかあります。まず挙げられるのは、加齢による視野障害や身体機能低下、筋肉の衰えなどで、運転時の操作ミスが起こりやすくなるためです。顕著な事故原因としてニュースなどでも時折報じられているのが、ブレーキとアクセルの踏み間違いです。

警視庁のチラシにもある視野障害の症状とは?

また、視野障害は、視力が良くても部分的に見えていないなど、限られた視野となっていることが多く、自覚症状がほとんどないため、気づきにくい障害です。特に視野障害は、警察庁による案内チラシにも紹介されています。同チラシにはこんな自覚症状が出たら要注意、免許の自主返納を考えては? として以下の4項目を載せています。

  • 左右のウインカーを間違って出したり、忘れたりする
  • 歩行者、障害物、他の車に注意が行かないことがある
  • カーブをスムーズに曲がれないことがある
  • 車庫入れの時、塀や壁をこすることが増えた

ちなみに、上記の加齢による自覚症状が、事故への引き金として疑われるような警察庁の統計結果も出ているので下記に引用します。

75歳以上のドライバーによる交通死亡事故は、それ以外の年齢層の2倍

平成29年に発生した年齢層別による交通死亡事故統計から見てみます(カッコ内は10万人あたりの数字)。免許人口10万人当たりの上位5つの年齢層は85歳以上(14.6)が最高で、次いで16~19歳(11.4)、80~84歳(9.2)、75~79歳(5.7)、20~24歳(5.2)となっています。つまり、24歳以下と75歳以上のドライバーによる死亡事故が多いことになります。また、平均値をみると、75歳以上が7.7、75歳未満が3.7で、75歳以上がそれ以外の年齢層の2倍以上の死亡事故を起こしていることが分かります。

東京・池袋での死傷事故後に免許の自主返納が増加傾向

こうした年齢層別の統計結果に加え、2019年4月に発生した東京・池袋での死傷事故の影響もあって、免許返納への関心が高まりをみせているのです。免許の自主返納が増加した一例として、新聞報道された群馬県警免許課による統計数字を上げます。同県の免許返納数は2019年4月までは月間500~600人で推移していたのですが、事故以降の同年5月からは毎月700~900人にまで返納者が増加したのです。

2. 75歳以上が免許更新時に行う高齢者講習について

これらの事例を含めて、免許の自主返納数の増加の背景にあるのが、75歳以上の免許保持者は、更新時に「高齢者講習」の受講が義務付けられているという道交法の存在です。高齢者講習の義務付けは2017年3月に改正された道交法で定められました。

高齢者講習の前に受けなければならない「認知機能検査」とは?

75歳以上の運転免許の更新は3年に1度です。更新の際に受けることが義務付けられている高齢者講習ですが、実はその前に「認知機能検査」を受けて、一定の点数以上の成績を残さなければ、高齢者講習を受けられないのです。
繰り返しになりますが、順を追って説明すると、

  • 免許の更新には高齢者講習が義務付けられている。
  • 高齢者講習は認知機能検査を受け、同検査で一定の点数以上でないと受けられない。
  • 一定の点数以下だった場合は、医師による検査を受け「認知症でない」という診断書をもらって提出し、高齢者講習を受ける

分かりにくいかもしれませんが、認知機能検査を受け、認知機能が低下していないという結果が出なければ、免許更新時の高齢者講習を受けられないわけです。

認知機能検査は免許更新期間満了の6カ月前から受検できる

それでは、免許更新に影響する認知機能検査とは、どんな検査なのでしょう。検査に至るまでの流れなどを含めて具体的に説明します。
まず、認知機能検査は予約制であることです。免許の更新期間満了となる日の約6カ月前に「検査と講習のお知らせ」という葉書が免許に記載の住所に届きます。葉書の指示に従って運転免許センターや試験場、警察などへ電話などで連絡し、認知機能検査の予約を入れます。
予約した検査当日、指定の検査所へ行き、検査を受けます。手数料として750円がかかるので持参します。眼鏡や補聴器が必要であればそれらも持って行きましょう。検査の所用時間は約30分で、実施方法の講習を受けた検査員の説明を受けながら検査が進むので、説明を聞き指示に従いながら回答していきます。

3. 認知機能検査は時間の見当識など3項目

検査項目は、①時間の見当識②手がかり再生③時計描画、の3つです。①は、当日の年月日や曜日、時間などを回答する検査です。用紙に回答を書き込みます。②の手がかり再生は、4枚に4つずつ描かれた16種類のイラストを記憶します。
次いで採点に関係しない課題を行った後に、記憶したイラストをヒントなしに回答し、思い出せない時はヒントを元に回答します。③の時計描画は、時刻を示す数字を含めて時計の丸い文字盤を描きます。次いで指定された時刻を長針、短針を使って描き込みます。

認知機能検査の重点項目はどれ?

以上で認知機能検査は終わりです。参考までに各検査項目の採点配分や得点の計算方法を示します。検査項目が、どこに重点を置いているかなどが分かります。

  • ① 時間の見当識 5問で合計15点
  • ② 手がかり再生 16問で合計32点
  • ③ 時計描画 7問で合計7点

少々ややこしいのは、単純に①~③の獲得点数を足しての合計得点ではなく、以下の計算式に則って100点満点として計算し直されることです。
1.15×①+1.94×②+2.97×③=総合計点(100.12)

この計算式では、満点を取ると100.12点となりますが、小数点以下は切り捨てとなるようです。上記の計算式による採点と結果判定は、その場で行われる場合と後日通知される場合に分かれます。採点結果に応じて、次の3つに分類(表1)され、それぞれ次の段階、いわゆる高齢者講習を受けられるかどうかが分かるわけです。

警察庁サイトや問題集の認知機能検査で事前チェック

なお、説明した認知機能検査の説明や詳しい内容等については、警察庁のウェブサイトに掲載されているほか、検査例題等は市販の問題集なども出ているので、それぞれ参考にするとよいでしょう。長くなりましたが、こうして認知機能検査をクリアしてから、高齢者講習を受けて免許を更新します。

4. 認知機能検査は一定の交通違反でも受検義務付け

ここで知っておいてほしいのは、75歳以上の高齢ドライバーが、信号無視や通行禁止違反など一定の交通違反をしてしまった場合に、「臨時認知機能検査」が義務付けられていることです。免許更新時に同検査を受けていても、違反時までに認知機能が低下している恐れがあるためです。臨時検査を受けた結果内容によって、免許の継続か、停止または取り消しに分かれます。
臨時とはいえ、基本的には免許更新時の認知機能検査と同じですので、検査結果による分類も同様になります。つまり、検査結果が直近の検査と同様か、それ以上であれば、免許は継続となります。結果が「記憶力・判断力が少し低くなっています」と出て、直近の検査より少し悪くなっていた場合は、臨時高齢者講習を受講すれば免許の継続が認められます。

75歳未満に比べ検査の機会が増える75歳以上のドライバー

これらに対して「記憶力・判断力が低くなっています」との結果が出た場合は、専門医の診断を含めた臨時適性検査や、医師からの診断書提出を求められることになります。医師により認知症ではない、と診断されれば、臨時高齢者講習を受けて、免許の継続ができます。他方、認知症と診断されると免許の停止や取り消しとなってしまうのです。

違反通知を受けてから1カ月以内に受検しないと免許停止や取り消しも

さらに気を付けなければならないのは、違反通知を受け取ってから1カ月以内に検査を受けないと、免許停止や取り消し処分となること。このように、75歳以上の運転免許保持者には、75歳未満のドライバーに比べて、認知機能検査や高齢者講習を受けなければならない機会が多くなっているのです。検査や講習により、認知機能の維持を確認するのはもちろんですが、早い段階で認知機能の衰えや低下を客観的に示すことで、免許の自主返納を促す目的もあるのかもしれません。

5. 免許返納後の運転経歴証明書の取得方法

続いて、免許の自主返納を決めて、運転経歴証明書を得るまでの流れを説明します。1点、注意しなければならないのは、免許の一部だけの返納はできない、ということです。また、以前は免許の失効や取り消しとなった方は、運転経歴証明書の申請ができませんでしたが、2019年12月1日から法令が変わり、免許の失効や取り消しとなった日から5年以内であれば、運転経歴証明書の申請を行えることになっています。
つまり、失効や取り消しから5年を経過してしまうと申請できないことになります。

運転経歴証明書の申請は最寄りの免許センターや警察署で

運転経歴証明書の申請手続きは、最寄りの免許センターや警察署で受け付けています。まず、免許の自主返納を行います。運転免許証と印鑑を持参しましょう。免許返納を終えたら、運転経歴証明書の発行手続きを申請します。この際、縦3cm、横2.4cmの大きさの写真と、交付手数料(1,100円、都道府県により異なります)が必要です。
なお、免許返納後は、当然ながらクルマの運転はできませんので、往復とも家族の運転でセンターなどへ行くか、公共交通機関を利用するようにします。

免許返納と運転経歴証明書の発行申請は代理人でも可能

また、免許返納と運転経歴証明書の発行申請は代理人でも行えます。免許返納時は、①代理人本人確認書類②代理人による誓約書③免許返納者の委任状の3つが必要です。運転経歴証明書申請には、①代理人の誓約書②代理人の印鑑③免許返納者の委任状の3つになります。ただし都道府県によって異なりますので、事前に確認することをお勧めします。

6. 免許を返納して受けられる様々な特典・サービスとは

さて、運転免許を自主返納して、身分証明書にもなる運転経歴証明書を入手することで、高齢者がマイカーに依存せずに生活できるように、さまざまな特典やサービスを受けられるよう、自治体を中心に官民で様々な支援を行っています。

免許返納の特典が一目で分かるマークを作成している自治体も

特典やサービスは、免許返納者の生活圏内に限られてはいるものの、多岐にわたっており、自治体によっては、特典提供などで免許自主返納者をサポートしていることが一目で分かるマークを作成、加盟店などでの掲示を促すとともに、サービスを提供している例もあります。
特にどの都道府県のサービスや特典ということではありませんが、以下に自治体と民間企業などによるサービスなどの一例を挙げます。

市町村などの自治体によるサービス例

  • バスやタクシーの無料券・回数券交付/li>
  • 自治体内の加盟店・協賛店で使える商品券や割引券/li>

民間会社や商店のサービスや特典例

  • 鉄道やバスなどの無料・割引利用
  • 銀行等金融機関でのお得な利率適用
  • ホテルや旅館、温泉、レジャー施設などでの利用料金無料または割引
  • 電動自転車購入での割引
  • 眼鏡店、理容美容店などの割引
  • 商品購入時のポイントやスタンプを一定数上乗せ
  • 宅配サービス時のおまけ

上記の例などを含め、各都道府県での詳しいサービス・特典内容ほかは、以下のサイトで確認できます。
また、各都道府県の警察でも、免許の自主返納促進の一助となるような特典やサービスを提供してくれる協賛社を募集中です

7. 免許返納後に再取得したくなった場合は?

身体機能低下の自覚や家族の勧めから、一念発起して免許を返納したものの、子供らが家を出て2人になった夫婦が地方に移って、短時間勤務ながら再雇用された、というように家庭や雇用環境などの変化から、免許の再取得を希望する、という例もあるでしょう。
そんな時、返納免許は返してもらえるのでしょうか。回答はノーです。免許を返納したということは、これまでに免許を持ったことがない、という人と同じことになります。つまり一からのスタートでの再取得も可能ということですが、それほど甘くないのが現実です。

自動車学校への再入学、または合宿での免許取得も選択肢だが…

免許返納は、高齢となって視聴覚を含め身体機能の低下したから、が理由だったはずです。自動車学校へ入っての再取得もありでしょう。入校に際して年齢の上限はありませんが、学科と技能に合格しなければならず、特に学科は覚えることが多く大変です。それぞれ追加教習を受けるとなると、費用もかさみます。
では合宿での免許取得はどうか、というと、こちらは年齢の上限を設けている場合がほとんどで、まれに60代での参加という例もあるようですが、70代を超えての取得は難しいのが現実のようです。そのほかの手段として、免許試験場で検定を受けて合格するという方法もあります。ただし仮免許と本免許の2段階となっていて、それぞれ学科と技能があり、特に学科は記憶力の低下がネックになりそうです。

本当に免許なしでも生活できるのか、じっくり考えてからの返納を

こうなると、免許を返納しても再取得への道が閉ざされているわけではない、とはいえ、かなりハードルが高く非現実的、ということになります。そうした事態も考慮して、体力と気力の衰えの自覚プラス家族の勧めによる免許の自主返納が、クルマの運転というメリットを上回るかどうかを、じっくり考えてから返納を決めるべきです。免許の自主返納が世間のトレンドになってはいますが、返納しなければよかった、と後悔することのないよう慎重に対応しましょう。

まとめ

主に高齢ドライバーに向けた取り組みとして注目を集めている、免許の自主返納。返納に至るまでの流れを、検査や講習内容を含めて説明しました。返納して受け取れる運転経歴証明書は身分証明にもなるうえ、自治体などからのサービスや各種特典の利用にも使えることを合わせて紹介、免許返納のきっかけとなるようなガイドとしてまとめました。返納を迷っている方への判断の一助になれば幸いです。

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