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e-Palette(イーパレット)。トヨタが仕掛ける次世代車の秘密に迫る!

toyota-e-palette

2019年10月9日、トヨタから東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に対して提供する同社初の自動運転専用EVが発表された。
その車の名前は『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』。

e-Palette(イーパレット)とはトヨタが来るCASE時代に備え、推し進めるMaaS(mobility as a service=モビリティ・アズ・ア・サービス)戦略を象徴する存在として開発された自動運転専用EVである。

ついに詳細が明らかになった『e-Palette』。
そこで今回は東京モーターショー2019にも出展されるという、e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)の詳細と可能性について読み解いていく。

1. 全ての始まりはCES2018だった。

そもそも『e-Palette』という存在が発表されたのは2018年1月8日、アメリカ・ラスベガスで開催された電子機器の見本市「CES 2018」でした。

同時期のアメリカでは「北米国際オートショー【NAIAS】(通称:デトロイトモーターショー)」が開催されているにも関わらず、敢えてトヨタは『e-Palette』発表の場に「デトロイトモーターショー」ではなく電子機器の見本市「CES 2018」を選んだ。

このことからも分かる通り『e-Palette』の発表は、単なる新車の発表などではありませんでした。
そこで発表されたものは未来のモビリティ社会であり、新しいプラットフォームだったのです。
つまり車は単なる「移動手段」ではなく、ユーザー次第で「移動式ホテル」や「移動式店舗」、ひいては「移動式工場」など何にでもなれるのだ、という非常にチャレンジングかつ壮大な構想だったのです。

具体的にその場で発表されたものは『e-Palette Concept』という一台の車とその活用イメージでした。
それぞれ詳しく解説していきます。

無色透明な『e-Palette Concept』

トヨタがCES2018にて発表した『e-Palette Concept』のコンセプトアート。出典:トヨタ自動車株式会社

まずそこで発表された車、『e-Palette Concept』の外観は、いわゆる商業用のバンを未来的にアレンジした、シンプルなデザインの車でした。
低床式のフロアと大きな乗降口から構成されるサイドウインドウは液晶表示が可能。
中でも印象深いのは自動運転のため運転席の撤廃された、非常にシンプルな箱型の車内空間でした。

自動運転専用のEVである『e-Palette Concept』を初めて見て感じたキーワードは「無色透明」です。
まさに「移動する空間」であることを主張するかの如きそのシンプルなデザイン。
それは何者にも染まっていないシンプルなデザインだからこそ、何色にも染まることができるという『e-Palette Concept』が描く未来のモビリティ社会を表しているかのようでした。

車がホテルや飲食店になる!?

続いてこの『e-Palette』の使用用途ですが、ここがこの巨大な構想の肝でした。
まずトヨタが『e-Palette』の使用用途として想定している範囲が極めて広かったのです。
例えば自動運転による「移動」はもちろんのこと「物流」、「宿泊」、「物販」、「工場」、「飲食」などあらゆることに使えます。
そう、この『e-Palette』は単なる移動手段などではなく、使う人によって様々なことを実現することができる手段だったのです。

「物販」出典:トヨタ自動車株式会社
「工場」出典:トヨタ自動車株式会社
「宿泊」出典:トヨタ自動車株式会社
「レストラン」出典:トヨタ自動車株式会社
「宅配ピザ」出典:トヨタ自動車株式会社
「物流」出典:トヨタ自動車株式会社

具体的に言うと、例えば朝は通勤用のタクシーとして利用し昼はお弁当の移動販売車として利用、そして夜は移動式のホテルとして使用する、などユーザー次第で使い方は幾らでも広がります。
他にも車内を移動式作業場として移りゆく風景を見ながら作業に没頭したり、移動式展示場としてお気に入りのアート作品を色々な場所で展示したりなど様々な利用方法を考えるだけでも夢は膨らむ一方です。

しかしそれだけ巨大な構想を実現するにはいくら日本最大の自動車メーカーであるトヨタであっても単独では困難であろうことは想像に難くありません。
そう、この巨大な『e-Palette』の実現のためには強力なパートナーが必要なのは明らかだったのです。

もちろんトヨタは強力なパートナーの参入を用意していました。

アマゾンやウーバー、果てはピザハットまで参入!

トヨタが用意していたパートナー企業の面々を見ていくとトヨタの本気度が見えてきます。
世界的EC企業アマゾン、世界的ライドシェア企業のウーバーと滴滴出行(Didi Chuxing)、宅配ピザ王手のピザハットなどはいずれも現代社会を構成している重要なプレイヤーです。
そんなアマゾンやウーバー、ピザハットなどが『e-Palette』と言うプラットフォームの上でビジネスを行うことを検討していること自体からも、トヨタの『e-Palette』に対する本気度が伺えます。

2. トヨタはサービス企業に変貌する!

ここまで述べてきたように『e-Palette』の主役は『e-Palette Concept』という車両そのものではなく、その上で行われる各種ビジネスだと分かってきます。
これはトヨタという巨大自動車メーカーにとっても一大転換点であり非常に大きな変化です。
というのもトヨタのこれまでのビジネスが「車を作って売る」だったのに対し、これからは『e-Palette』を通じて「車を含めたプラットフォームを売る」ということがメインのビジネスに変化するからです。

車両だけではなく通信プラットフォームまで提供する出典:トヨタ自動車株式会社

つまりトヨタは今後これまでのように純粋なメーカーから、「楽天市場のように誰でもそのプラットフォーム上で商売ができる」というサービスを売る会社になっていくということです。
しかもこの『e-Palette』というプラットフォームはリアルの空間で展開される為、実際の「移動空間」として大量の車両が必要になります。
その「移動空間」たる車両もトヨタ自身が製造・販売できる為まさにトヨタにとって一石二鳥なのです。

このように未来の交通システムの変貌を予想し、そこで行われるであろう様々なビジネスの提供基盤になろうというトヨタの戦略は非常にスマートな印象を受けますね。

3. 東京2020オリンピック・パラリンピックはCASE時代の幕開けになる!

そして2019年10月9日、発表された『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』。
本車両は『e-Palette Concept』の基本コンセプトはそのままにより洗練されたデザインと機能性を持って華々しく登場したのです。

コンセプトモデルから正統進化した『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』出典:トヨタ自動車株式会社

主な使用用途としては東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村内での、選手や大会関係者のスマートな移動を助ける巡回バスとしての利用が想定されています。
そのためかボディーサイズも大きめで全長は5255、全幅は2065、全高も2760mmとなっており最大乗員数はなんとビックリ20名!
しかも車いすも最大4名まで乗車できるため、パラリンピックの際も大活躍間違いなしですね。

そんなの本車両の基本コンセプトは「“Move” for All(すべての人に移動と感動を)」。

『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』の開発責任者である牟田隆宏氏は、インタビューにおいて以下のように語っています。

引用
「e-Palette(東京2020仕様)は、“Move” for All(すべての人に移動と感動を)をコンセプトに、あらゆる人に『移動』(“Move”)の自由を提供でき、移動を通じて心までも動かし『感動』(“Move”)を生むモビリティを目指しました。開発にあたっては、オリンピック・パラリンピックそれぞれの選手に過去大会の選手村内での生活の様子を伺い、もっと手軽で便利、そして快適なモビリティが求められていると感じ、車両の様々な仕様に反映させてまいりました。e-Palette(東京2020仕様)による選手に寄り添った移動サービスの提供を通じて、東京2020大会の成功に貢献したいと考えています」

「“Move” for All(すべての人に移動と感動を)」の体現を目指して。

まさに開発責任者の方の思いが結実した『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』。
そんな本車両の具体的な推しポイントいくつかを見ていきましょう。

フラットな乗降口

何と言っても最大の注目点は乗降口からフラットにつながる低床式のフロアだと思います。
これまでのバスやタクシーなどの公共交通機関は車いすの方にとって、とかく不便な乗り物でした。
通常のバスやタクシーの多くは乗降口が高い部分にあるため、車いすではスムーズに乗り込むことができなかったからです。

そこで登場したのが『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』の低床式のフロア。

車いすでもスムーズな乗降を可能にする低床式フロア出典:トヨタ自動車株式会社

「“Move” for All(すべての人に移動と感動を)」を本当の意味で実現するためには車いすの方も気兼ねなく乗車できる仕組みが必要だと思います。
その仕組みを画期的な低床式のフロアでもって実現した、という点は賞賛されても良いのではないかと考えます。

色弱の方に配慮した明度差

明暗のハッキリした配色が印象的なインテリア出典:トヨタ自動車株式会社

地味に印象的なのは色弱の方でも認識をしやすいように、車内の内装や床などの色に明確な明度差をつけている点です。
ついデザイン重視でかっこいい配色にしてしまいがちですが、『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』は違いました。
少しでも困っている人がいたらその人の味方になろう!という気概の伝わってくるデザインもまた素晴らしいと思います!

クルマが”目”と”目”でコミュニケーション!?

「通常運転」出典:トヨタ自動車株式会社
「ニコニコ」出典:トヨタ自動車株式会社
「ストップ!!」出典:トヨタ自動車株式会社

個人的に『e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)』で一番お気に入りなのがこの「アイコンタクトが出来るランプ」です。
個性豊かな表情がカワイイですよね!

周囲の歩行者も車の表情を通じて、直感的にその車の状態を感じることができる本機能。
もしかしたら将来的には一般の車にも広がっていくかもしれませんね!

4. 今後の主役は『e-Palette』ではない!?

さて、いよいよ実用モデルが発表された『e-Palette』。
今後の『e-Palette』がどのように進化していくのか楽しみで仕方ありません!

しかし今後我々が最も注目すべきなのは『e-Palette』そのものではなく以下の2点だと思います。

  • 『e-Palette』という壮大なプラットフォーム上でどのようなサービスが展開されるのか?
  • そしてそれらのサービスが社会に対してどのような効果をもたらすのか?

今後『e-Palette』は自動運転やEV、ライドシェアなどといった狭小な括りには留まらず、広く社会を変える可能性があります。
もしかしたらこの『e-Palette』というプラットフォーム上から第二・第三のアップルやアマゾン、グーグルが出現するかもしれません。
そして、その時の主役はおそらく『e-Palette』では無いと思います。
『e-Palette』自体はインフラであり、『e-Palette』が当たり前の存在になった時主役はその上で展開される「サービス」になっているでしょう。

物流や物販、飲食から宿泊まであらゆるレジュームチェンジを引き起こすであろう『e-Palette』。
これはこの30年世界に対して負け続けてきた日本企業にとって最後のチャンスだと思います。

『e-Palette』とは再度フラットな条件で世界と競うことができる「最初で最後の敗者復活戦」。
このチャンスを活かすも殺すも、『e-Palette』上でどれだけ独創的なサービスを展開できるかにかかっているでしょう。

これからも引き続き日本経済、ひいては世界経済にも大きな影響を及ぼすであろう『e-Palette』に注目していきたいと思います。

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